【世界遺産】北京の中軸線とは?歴史・構成資産を徹底解説

中軸線 中国
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こんばんは、オヤジです。

北京の中心を南北に貫く北京の中軸線は、2024年7月27日に世界遺産に正式に登録されました。これは北京で8番目、中国で59番目の世界遺産となり、その国際的な価値が広く認められたことを示しています。

中国の首都北京の都市設計の中核を成すこの歴史的な軸線は、元朝から清朝に至るまでの約700年にわたり、都市の発展とともに形成されてきました。

この記事では、北京の中軸線の詳細と構成資産の概要をまとめてお届けします。

北京の中軸線について

北京の中軸線は、北の鐘楼と鼓楼から南の永定門までの全長約7.8キロメートルにわたる、世界で最も長く、持続的に機能してきた都市軸線の一つです。

2024年には、比類のない都市計画の伝統、700年以上にわたる継続性、および儀式と統治の理念を具現化した象徴的なレイアウトが、顕著な普遍的価値を持つと評価され、「北京中軸線―中国の理想的な都城秩序の傑作」としてユネスコ世界遺産に登録されました。

歴史と形成

中軸線は、13世紀に初めて建設され、16世紀に形が整えられ、現在に至るまで北京の都市構造の基盤を形成しています。

その起源は元朝(1271-1368年)が首都・大都を建設した時代に遡り、古代中国の都市計画書「考工記」に記された理想的な都市の概念に基づいています。

明代の嘉靖年間(1522年~1566年)には、現在の7.8キロメートルにまで延長され、清朝期には建築物の配置などで中軸線と都市全体の関係がさらに強化されました。

中軸線は、中国の政治、文化、宗教の中心地としての役割を果たし、東アジア全域の都市計画に影響を与えた規範的な構造です。

構成資産一覧

北京の中軸線は中軸線上およびその東西に位置する15の資産から構成されています。

これらは5つのタイプ(皇帝の宮殿と庭園、皇帝の祭祀用の建物、古代の都市管理施設、国家の儀式用建物と公共建築物、中軸線道路遺構)に分類されます。

1鐘楼・鼓楼钟鼓楼古代都市管理施設
2万寧橋万宁桥中軸線道路遺構
3景山景山皇帝の宮殿と庭園
4故宮故宫皇帝の宮殿と庭園
5太廟太庙皇帝の祭祀用の建物
6社稷壇社稷坛皇帝の祭祀用の建物
7端門端门皇帝の宮殿と庭園
8天安門天安门国家の儀式と公共の建物
9外金水橋外金水桥国家の儀式と公共の建物
10天安門広場建築群天安门广场建筑群国家の儀式と公共の建物
11正陽門正阳门古代都市管理施設
12天壇天坛皇帝の祭祀用の建物
13先農壇先农坛皇帝の祭祀用の建物
14中軸線南区間道路遺跡南段道路考古遗址中軸線道路遺構
15永定門永定门古代都市管理施設

構成資産概要

1. 鐘楼・鼓楼

北端にそびえるランドマークで、元・明・清三代(1272年建立)における時報を司る中枢でした。

鼓楼と鐘楼が南北に配置され、特に鐘楼には「古鐘の王」と呼ばれる銅鐘が掛かっています。古代都市の時間計測を司り、夜の定時を告げるために108回の鐘や太鼓が打ち鳴らされました。

中軸線の起点であり、北京の発展を見守ってきた重要な結節点です。

2. 万寧橋

中軸線道路遺構の一つであり、鐘楼・鼓楼から南へ向かう軸線上に位置します。

万寧橋は、その配置と機能的な構造を通じて、国家の儀式場と都市施設を結びつけ、完璧な均衡と壮大さを生み出す、中軸線全体の空間構造を構成する重要な要素を担っています。

3. 景山

故宮(紫禁城)の真北に位置する人工の山で、中軸線上の景観に「起伏」を与える重要な要素です。かつて皇帝が登り、遠くを眺める場所として王宮の構成部分でした。

景山は、中軸線の空間配分の壮大さを視覚的に強調するだけでなく、宮殿を北の邪気から守る風水的な役割も同時に果たしています。

景山公園

4. 故宮(紫禁城)

皇帝の居住・執務空間であり、中軸線の核心に位置します。

中国の建築技術の粋を集めた壮麗な建造物で、中軸線がここを貫通することで、皇帝の地位が宇宙の中心に据えられていることを象徴しており、権力と儀式が中心軸に沿って厳密に配置される規範を示しています。

故宮博物院

5. 太廟

中軸線の東側(故宮の左側)に対称的に配置された皇帝の祖先を祀る宗廟です。

都城計画の原則である「左祖右社」の「左祖」にあたり、皇帝の統治の正当性を確立する重要な祭祀施設の一部を構成しています。

この厳格な配置は、中軸線が体現する宇宙的秩序と礼制を反映しています。

6. 社稷壇

中軸線の西側(故宮の右側)に太廟と対をなすように配置された施設です。

土地の神と五穀の神を祀る社壇であり、「左祖右社」の「右社」にあたります。

国家の安定と豊穣を祈る祭祀を担っており、中軸線の左右で、祖先と国土・農業という国家の基盤となる祭祀が対称的に配置されています。

7. 端門

故宮へと続く儀式的な空間の一部を構成する門です。

天安門と故宮(午門)の間に位置し、皇城の正門から内城に至る厳密な階層構造と儀式を体現する結節点の一つです。

この一連の門群は、皇帝の権威を示す壮麗な空間の流れを生み出します。

8. 天安門

天安門広場の北に位置する、かつての紫禁城の正門にあたります。

国家の儀式と公衆の場としての機能が統合された結節点であり、歴史的には王宮の禁足地から現代国家の中心軸へと変遷した経緯を象徴しています。

天安門

9. 外金水橋

天安門のすぐ南に位置する石造りの橋で、天安門広場建築群の一部として国家的な儀式空間を構成します。

この橋は、皇城の境界としての役割を果たしつつ、壮大で厳粛な国家的儀式の場を形作る重要な要素です。

10. 天安門広場建築群

現代中国の政治と文化の中心地であり、人民英雄記念碑や現代的な建物群を含む大規模な広場です。

かつての王宮の禁足地から、市民が活動できる公共の空間へと変貌を遂げた場所であり、中国社会の大きな変化と近代化の過程を反映しています。

天安門広場

11. 正陽門

内城への主要な入口であった都市管理施設で、「前門」とも呼ばれ、中軸線南側の賑わいの中心点です。

この門の周辺には、商業や梨園、民俗などの文化が明・清以来蓄積されており、北京の歴史文化の精髄が凝縮された地域です。

行政軸線から庶民の生活文化へと移り変わる文化的結節点となっています。

12. 天壇

中軸線の東側に配置された、明清代の皇帝が豊作を祈る「祭天」儀式を行った神聖な場所です。

壮大な宇宙観に基づいて設計され、特に中心建築である祈年殿は、青い瑠璃瓦の屋根が特徴的で、古代中国の時間観念を表現した28本の柱を持ちます。

現存する最もよく保存された祭祀建築群です。

天壇

13. 先農壇

中軸線の西側に天壇と対をなすように配置された施設です。

皇帝が農業を司る神々を祀り、自ら農耕儀式を行うための重要な場所であり、国家の安定に不可欠な「地」の恵みを重視する礼制を反映しています。

天壇と対をなすことで、祭祀体系の対称性を完成させています。

14. 中軸線南区間道路遺跡

正陽門から永定門までの区間に残る、中軸線上の古い道路の遺構です。

この区間は、明代に中軸線が南へ延長された際に整備された重要な道筋であり、中軸線という概念が、単なる建物群ではなく、都市を貫く道路も含めた空間全体として認識されてきたことを示しています。

15. 永定門

中軸線の南端の終点に位置する旧市街の境界門です。

かつての外城南門であり、全長7.8キロメートルにわたる世界で最も長い都市中軸線の物理的な終点を定義する役割を担っています。

2005年には再建され、中軸線の歴史的な完全性が回復されました。

まとめ

北京の中軸線は、約700年にわたる連続性や整合性、そして継続的な発展を備えた、まさに比類のない都市空間です。

世界遺産を構成する資産のすべてが北京市中心部に集まっているため、アクセスも非常に良好です。気になるスポットがあれば、散策の途中に気軽に立ち寄ることができます。

歴史の重なりを感じながら、ぜひ実際に訪れてその魅力を体感してみてください。

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