こんばんは、オヤジです。
上海の必須スポットと言えば豫園(よえん)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
明代(16世紀)に造られた江南地方を代表する古典庭園である豫園と、その周りには伝統的建築を活かした商業エリア(豫園商城)や、明清時代の街並みを再現した上海老街(豫園老街)が広がり、多くの観光客が訪れています。
今回の記事では、豫園の中心となる庭園について、詳しくご紹介します。
豫園について
豫園は「楽しい園」を意味し、「都市の中の山林」を体現する場所として、上海の豊かな歴史と文化遺産の象徴となっています。
豫園の歴史は明の時代まで遡ります。1559年、高官の潘允端(ばんいんたん)が老父のための隠居所として建設を開始したことに始まります。建設には約20年と潘家の財産の大部分が費やされましたが、父は完成を見届けることなく逝去しました。
潘允端の死後、潘家の財力は衰退し庭園は荒廃しました。19世紀のアヘン戦争や太平天国の乱では軍事拠点として使用され甚大な被害を受けましたが、度重なる修復を経て、特に1956年の上海市政府による大規模修復が実施されました。
1961年に一般公開され、1982年には全国重点文物保護単位に指定されています。
豫園のロケーションと情報
豫園へのアクセスは、地下鉄の利用が便利です。上海地下鉄10号線または14号線で「豫園駅」で下車し、徒歩7〜10分ほどで豫園の正門に到着できます。
出口は7番か1番が利用できますが、7番が近くてわかりやすいのでおすすめです。
- インフォメーション
- 地図
住所 | No. 218 Anren Street, Huangpu District, Shanghai, China |
電話番号 | +862163260830 |
WEBサイト | https://www.yugarden.com.cn/ |
営業時間 | 9:00〜16:30(最終入場16:00) |
定休日 | 月曜日 |
入場料 | 大人:40元(約826円)、子ども:20元(約413円) |
所要時間 | 45分〜60分 |
豫園のチケット購入方法
豫園のチケットは、当日現地で購入するほか、事前にオンライン予約することも可能です。私たちは、現地で購入しましたが、チケット売場は混み合っていますので、事前にオンライン予約することをおすすめします。
オンライン予約の方が、現地での購入よりも少し安くなります。

豫園商城の入口を過ぎ真っ直ぐ進むと、入口の案内があります。豫園は団体客用と個人客用(Individual Visitors)で入り口が分かれていますので、個人客用に行ってください。上の写真の赤枠のあたりです。
入口から入ると右側にチケット売り場がありますので、そちらで人数を伝えて、入場料を支払います。支払いは現金のほか、銀聯カードやWeChat、Alipayなどのモバイル決済も利用できます。私はAlipayで支払いをしました。
私は提示を求められませんでしたが、他の方がパスポートを提示しているのを見かけたので、支払い方法によってはパスポートの提示が求められる可能性があります。


チケットにQRコードが印刷されていますので、ゲートでQRコードをスキャンして入場します。
見どころ
豫園は、伝統的な中国江南式庭園で、山・水・植物・建物の四要素から構成されています。
太湖石の假山、池と水路、四季の花木、楼閣や廊下などの伝統建築が調和し、自然美と人工美が融合した景観を創出しています。
南北に細長い形状で、複数のエリアが連続しつつも統一感を保つ設計となっており、中国の美学を体現した文化的価値の高い庭園です。

豫園は、その広大な敷地に見どころが満載です。以下に、私が良いと思ったスポットをいくつかご紹介します。
太湖石(たいこせき)と假山(かざん)
凹凸のある奇石太湖石は、蘇州の太湖近くで産出される石灰石で、中国では神が宿るとされる人気の石です。

太湖石は日本庭園でいう築山にあたる假山の素材として使われ、自然界の山を模した景観を作り出しています。
玉玲瓏(ぎょくれいろう)
私が一番印象に残ったのが、「玉玲瓏(ぎょくれいろう)」です。豫園のWEBサイトでも「鎮園之宝(ちんえんのたから)は玉玲瓏」と紹介しており、江南三大名石の一つに数えられています。

玉玲瓏は宋の徽宗(きそう)皇帝の時代(約1000年前)の「艮岳遺石(こんがく いせき)」に由来します。
この石は、中国古典庭園で重視される「瘦(ほそい)・透(すきとおる)・皺(しわ)・漏(水や煙が通り抜ける)」という四つの美を兼ね備えています。
洞門(どうもん)
庭園と庭園をつなぐ出入り口として、円形や鍵穴状の洞門が見られ、額縁のように景色を切り取る役割も果たします。

豫園の庭園散策で景色の変化を楽しむポイントとなっており、庭園美の演出に欠かせない重要な要素です。
古戯台(こげきだい)
豫園の古戯台は壮大で広々としており、金碧輝煌(きんぺききこう)で、彫刻された梁や彩色された柱など華麗な装飾が施され、「東南第一の舞台」と称えられています。

この舞台は周囲の建物から観覧できる構造となっており、音響効果を高めるため天井裏には精巧な装飾彫刻が施されています
龍壁(りゅうへき)
塀の上で龍が泳いでいるように見える独特の龍壁は、歴代皇帝のシンボルである龍の装飾において、その爪を3本にすることで敬意を表しつつも、庭園に龍を取り入れる工夫が凝らされています。龍の口には玉(宝珠)をくわえ、喉元には涎を受ける蛙がいます。

龍は皇帝以外使ってはいけないとされる生き物でしたが、皇帝が使用する龍は5本指ですが、龍壁の龍の指は3本であり厳密に言うと龍ではないという設計で、皇帝への配慮がなされています。
竹林
竹林は、中国庭園の自然美を演出する要素の一つとして存在しています。

竹は庭園内の静寂で自然豊かな景観に調和し、伝統的な江南庭園の雰囲気を高めています。
庭園の設計は山・水・植物・建物の調和が特徴で、竹林もこうした自然要素の一部として景観の深みを加えています。
回廊
豫園の庭園エリアは、大小の池が点在し、その周囲や池の上に伝統的な中国式の回廊(遊廊)が巧みに巡らされています。

この回廊は単に通路としての機能を持つだけでなく、歩きながら多様な風景美を楽しめるよう工夫されています。
回廊内部には彫刻や装飾が施され、景色を楽しむ眺望ポイントとしての役割も大きいです。
まとめ
400年以上の歴史を持つ豫園は、伝統的な中国江南式の美学が息づく特別な空間です。
太湖石で築かれた高さ14メートルの大假山、大小の池、四季折々の花木、そして圧巻の龍壁など、見どころが満載です。
都市の喧騒を忘れ、中国の美意識に浸れる豫園は、上海旅行のハイライト間違いなしです。ぜひ一度この美しい庭園を訪れ、上海の歴史と文化に触れてみてください。
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