こんばんは、オヤジです。
北京旅行で外せない人気スポットといえば、歴史ある街並みと最新のショッピングが同時に楽しめる「前門大街(ぜんもんたいがい)」です。
「昔ながらの北京の雰囲気を味わいたいけれど、きれいな場所で買い物やグルメも楽しみたい」という願いを、まさにそのまま叶えてくれるのがこのエリア。観光初心者にもリピーターにも強くおすすめできる散策スポットです。
この記事では、前門大街の概要、アクセス、見どころ、グルメまで、初めて訪れる人にもわかりやすく紹介します。
前門大街について
前門大街は、北京の都市設計の中心となる「中軸線」上に位置し、天安門広場の南側からまっすぐ伸びる全長約845mの大通りです。
かつては皇帝も通った由緒正しい道で、現在は車両の進入が禁止され、歩行者専用の広々とした散策エリアとして生まれ変わりました。

最大の魅力は、異なる時代が混ざり合う独特の景観です。
清末〜中華民国初期のの建築美を再現した重厚な街並みに、世界的ファッションブランドやモダンなカフェが自然に溶け込み、古き良き北京の雰囲気と現代のトレンドが見事に融合しています。
北京の中軸線については下記の記事をご覧ください。
場所・アクセス・所要時間
観光の拠点となる天安門広場のすぐ南側にあり、ほかの観光地と合わせて回りやすい立地です。
基本情報
天安門広場の南にそびえ立つ「正陽門(前門)」から南へと伸びる通りが前門大街です。

現在は車両の進入が制限された歩行者専用道路となっているため、安心して散策や食べ歩きを楽しむことができます。
アクセス
地下鉄2号線「前門駅」と7号線の「珠市口駅」が最寄り駅になります。

前門駅は前門大街の北側、珠市口駅は南側の入口に近く、それぞれ徒歩数分圏内です。
前門駅を利用の場合は、出口CまたはB、珠市口駅をご利用の場合は、出口Cをご利用ください。
所要時間の目安
観光の所要時間は、過ごし方によって大きく変わります。
メインストリートを散策して、レトロな建物を背景に記念撮影をしたり、お店を軽くのぞいたりする程度であれば、1時間弱で十分に雰囲気を味わうことができます。
一方で、老舗レストランで北京料理を堪能したり、カフェで休憩を挟んだり、さらに一歩奥に入って路地裏(フートン)のローカルな空気感までじっくり満喫したい場合は、2〜3時間ほど見ておくのがおすすめです。
旅のスケジュールに合わせて滞在時間を調整してください。
歴史と街並み:タイムスリップしたような風景
歴史的背景
前門大街の歴史は非常に古く、元・明・清にわたる500年以上のあいだ、北京の商業の中心として繁栄してきました。

紫禁城の正門「正陽門」の前に位置することから、皇帝が天壇へ向かう際の神聖な「御道」としても使われた特別な場所です。
一方で一般庶民にとっては、劇場や茶館が集まり、人々が行き交うにぎやかな娯楽の拠点でもありました。
まさに「北京の歴史の縮図」とも言えるエリアです。
街並みと雰囲気
大規模な再開発によって街並みは美しく整備されましたが、灰色レンガの楼閣風建築など、清朝末期〜中華民国初期の建築様式が忠実に再現されています。


通りの中央を観光用のレトロな路面電車がゆっくりと走る姿は、前門大街の象徴的な風景です。
夜になると建物がライトアップされ、昼間とは違う幻想的で華やかな雰囲気に包まれます。
前門大街の楽しみ方
老舗グルメ
前門大街は、ショッピングストリートであると同時に、「老字号(ラオズーハオ)」と呼ばれる伝統ある老舗が集中する北京グルメの名所でもあります。
老字号とは、長い歴史・確かな技術・高い評判を備えた店に与えられる称号で、政府の認定を受ける場合もあります。宮廷料理から庶民の味まで、本場の味がそろっています。
清朝の皇帝も愛した宮廷の味から、庶民に親しまれてきた素朴な味まで、数百年の荒波を乗り越えてきた「本場の味」がここに集結しています。

- 全聚徳(ゼンシュトク / Quanjude)前門店
言わずと知れた北京ダックの代名詞とも言えるお店です。1864年創業のここ前門店は、世界中に支店を持つ全聚徳の「発祥の地(本店)」。豪華な店構えの中で、職人が焼き上げる皮がパリパリの正統派北京ダックを味わうことができます。 - 都一処(トイッショ / Duyichu)
1738年創業、焼売(シューマイ)の専門店です。その味に感動した清の乾隆帝が店名を授けたという伝説を持つ名店です。花びらのように美しく包まれた皮と、ジューシーな餡が特徴で、食事時は常に満席になるほどの人気ぶりです。 - 方砖厂69号炸酱面(ファンジュアンチャン・69号・ジャージャンミエン)
北京市民のソウルフード「炸醤麺(ジャージャンミエン)」を語るなら外せない、ミシュラン・ビブグルマンにも選出された名店です。 もともとは路地裏の小さな名店でしたが、その「昔ながらの北京の味」が評判を呼び、今や行列のできる人気店に。コシのある太麺に、豚肉たっぷりの濃厚で真っ黒な秘伝ダレと新鮮な野菜を豪快に混ぜて啜れば、口いっぱいに北京の家庭の味が広がります。
絶品「食べ歩き」グルメ
老舗でのきちんとした食事も良いですが、前門大街の醍醐味といえば、通り沿いの売店で買ってその場で楽しむ「食べ歩き」です。
観光の時間を無駄にせず、小腹を満たしながらいろいろな味を少しずつ試したい!という方にぴったりなスタイルです。

- 北京ダックロール(烤鴨巻)
「高級料理の北京ダックをレストランで食べる時間がない」、「一人旅だから丸ごとは注文できない」という方におすすめです。 通りの屋台や売店では、焼きたてのダックとネギ、キュウリを特製の甘味噌(甜麺醤)と一緒に薄餅でくるりと巻いた「北京ダックロール」が売られています。片手で持てる手軽さと、数百円程度というリーズナブルな価格で、本場の味をカジュアルに楽しめる大人気メニューです。 - ラム肉の串焼き(羊肉串 / ヤンロウチュアン)
通りを歩いていると漂ってくる、食欲をそそるスパイシーな香り。その正体は、炭火で香ばしく焼かれたラム肉の串焼きです。 クミンや唐辛子などのスパイスがたっぷりと効いたジューシーな羊肉は、臭みもなく、一度食べるとクセになる味わい。ビールのお供にも最高ですが、片手に持って豪快に頬張るのが北京流です。 - 呉裕泰(ウーユタイ / Wuyutai)
1887年から続く老舗のお茶屋さんですが、観光客の目当ては店頭で売られているお茶のソフトクリームです。ジャスミン茶や抹茶の香りが濃厚で甘さ控えめ。「前門に来たらまずはこれを片手に散策」というのが、現代の定番スタイルになっています。 - 糖葫芦(タンフールー)
日本の「りんご飴」のルーツとも言われる、北京の冬の風物詩です。伝統的には「サンザシ」という赤い果実を串に刺し、パリパリの飴でコーティングしたものですが、最近はイチゴやミカンなど種類も豊富です。 飴の甘さと果実の酸っぱさが絶妙なバランスで、歩き疲れた時の糖分補給にぴったり。真っ赤でツヤツヤした見た目はとても可愛らしく、レトロな街並みを背景に写真を撮るのもおすすめです。

絶対に試していただきたいのが、北京ダックロールです。わずか650円ほどで、本場の北京ダックをカジュアルにいただくことができ、本当に美味しです!
新旧入り混じるショッピング
前門大街は、自分用のお土産から大切な人へのギフトまで、買い物の選択肢も非常に豊富です。
大型デパートが立ち並ぶ都会的な「王府井(ワンフーチン)」に比べると、こちらは歴史的な情緒や庶民的な活気を感じながら、一軒一軒のお店を巡る楽しさがあるのが特徴です。

- 稲香村(ダオシャンツン / Daoxiangcun)
「北京のお土産、何にしよう?」と迷ったら、まずはここへ。北京を代表する伝統的な中華菓子の老舗です。 店内には、牛の舌のような形をしたサクサクのパイ「牛舌餅」や、花や動物を模した美しい焼き菓子がショーケースにずらりと並んでいます。箱詰めのギフトセットはもちろん、1個単位で好きなものを選んで量り売りでも購入できます。 - 一生モノに出会う「伝統工芸品」
このエリアには、中国の無形文化遺産クラスの老舗が点在しています。 例えば、チャイナドレスのオーダーメイドで有名なシルクの老舗「瑞蚨祥(ルイフーシャン)」や、履き心地抜群の伝統的な布靴を手がける「内聯陞(ネイリェンシェン)」など。職人の技が光る逸品を旅の記念に探してみてはいかがでしょうか。 - レトロ建築 × モダンブランド
スターバックスやH&M、ZARAといったお馴染みのグローバルブランドも、ここでは一味違います。 前門大街の景観に合わせて、すべての店舗が「灰色レンガのレトロな外観」で統一されており、看板も漢字表記になっていることがあります。現代的なブランドと歴史的建築が融合したユニークな店舗デザインは必見です。
路地裏散策
時間があれば、メインストリートから一歩西側や裏手の路地(胡同、フートン)に入ってみてください。
そこには再開発されていないローカルな住宅街や小さな食堂が残っており、「昔ながらの北京」の生活感を肌で感じることができます。表通りの華やかさとのギャップも楽しみの一つです。
まとめ
前門大街は、北京の長い歴史を感じさせる「レトロ」な側面と、快適に観光できる「モダン」な側面を併せ持った魅力的なエリアです。
アクセスも抜群ですので、天安門広場や天壇公園を訪れる際は、ぜひこの通りまで足を延ばして、北京の今と昔を体感してみてください。



コメント