こんばんは、オヤジです。
北京観光のハイライトといえば広大な故宮博物院(紫禁城)ですが、その全貌を一望できる絶景スポットが、今回ご紹介する景山公園(けいざんこうえん)です。
故宮博物院の北側という最高のロケーションに位置し、歴史と風水思想に深く根差したこの公園は、まさに特別な場所です。頂上から眺める壮大な北京の中心軸の景色は、訪れるすべての人に感動を与えてくれるでしょう。
この記事では、景山公園の歴史的背景、アクセス、チケット購入方法、見どころ、そして訪問時の注意点までを詳しく解説します。
景山公園について
景山公園は、故宮博物院(紫禁城)の北門である神武門のすぐ北側に位置する、歴史的な公園です。この公園の最大の特徴は、園内の小高い山が人工的に築かれた山である点です。

この山は、明の時代に紫禁城を建設した際、城を囲む濠を掘った時の残土を盛り上げて築かれました。かつては北京の中心部で最も高い地点であり、その高さは43メートル(海抜88.7メートル)に達します。
この人工の山を築けたことは、当時の皇帝の権力が、いかに多くの労働力を自由に使うことができたかを物語っています。
景山公園は北京の中心軸の北端に位置し、風水思想を取り入れた古代からの都市計画や文化の伝統を残している点から、2024年7月に「北京中軸線:中華の理想的秩序を示す建造物群」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されています。
景山公園の配置は、風水思想の「背山面水」の概念に従い、王宮であった紫禁城に「殺気」が入らないように、北京の南北中軸線の最北端に築かれたとされています。
所在地とインフォメーション
所在地とアクセス
景山公園は故宮博物院の出口(神武門)のすぐ北側、道を挟んだ向かい側に位置しているため、故宮博物院の観光後に訪れるのが定番です。
また、故宮博物院に行く時間がなかったり、チケットを取れなかった場合も、故宮博物院の全景を見ることができますので、ぜひ訪れていただきたい場所です。
- 住所
- 地図
| 住所 | No. 44, Jingshan West Street, Xicheng District, Beijing, China |
| 電話番号 | +861064038098 |
神武門から景山公園を訪れる場合は、門を出て左手へ数分歩くと地下道がありますので、これを通って景山公園側に行きます。
故宮博物院に寄らずに直接訪れる場合は、下記のアクセス手段があります。
| アクセス方法 | 詳細 |
|---|---|
| 地下鉄 | 地下鉄8号線「什刹海駅」から徒歩約25分 地下鉄8号線「美術館駅」から徒歩約20分 |
| バス | 101、103、109、124番(トロリーバス)58番(路線バス)などで「故宮駅」下車。 |
景山公園の東門から一番近い地下鉄駅は「美術館駅」ですが、そこから2km近く離れています。また、故宮の神武門付近でタクシーを拾おうとするのは大混雑のため困難であり、警備員に怒られることもあるため避けることをおすすめします。

地下鉄駅からは距離があり、バスもややハードルが高かったため、私はシェアサイクルを利用しました。
営業時間と所要時間
景山公園の開園時間は季節によって異なります。
| シーズン | 入場時間 | 最終入場 |
|---|---|---|
| 夏季(4月~10月) | 6:00~21:00 | 20:30 |
| 冬季(11月~3月) | 6:30~20:00 | 19:30 |
観光の所要時間は、山頂の万春亭への往復を含めて1時間から1時間30分程度です。
チケットの買い方
景山公園は、北京の主要な観光地の中では比較的入場しやすい施設です。
入場料
景山公園の入場料は、大人2元(約40円)、子供1元(約20円)と非常にリーズナブルに設定されています。ただし、 「文化シーズン」には料金が上がることがあるそうです。
中国の「文化シーズン」とは、春節(旧正月)や国慶節など、伝統的・現代的な祝祭やイベントが集中的に行われる時期を指します。
予約の有無
北京のほとんどの観光地は事前予約が必要ですが、景山公園は予約は必要なく公園の窓口でチケットを購入可能です。
オンラインチケット販売プラットフォーム「暢遊公園」のWeChatミニプログラムでも事前予約は可能ですが、中国の電話番号による認証が必要なため、外国人観光客にはあまり現実的ではありません。
チケットは南門、東門、西門それぞれで購入可能です。故宮博物院から一番近い南門は混雑していることが多いので、東門か西門を利用するとスムーズです。

東門の入場ゲートです。荷物検査を受けて中に入ります。チケット売り場は入ってすぐの右側にあります。正面奥のゲートでチケット(事前予約の場合はQRコード)をスキャンして入園します。
景山公園の見どころ
景山公園の最大の魅力は、北京の中心にある壮大な景色と、歴史的な中軸線の眺望です。
下記が園内マップです。マップの番号は、下の見どころと連動しています。

①万春亭からの360度大パノラマ
景山公園の人工の山の頂上に立つ「万春亭(まんしゅんてい)」は、紫禁城を含めた城郭の最高地点に建つ建造物です。

万春亭の内部には入れないため、前の広場から景色を眺めます。ここは、北京で一番の絶景スポットといえます。

万春亭からは紫禁城の巨大な全景が間近に一望でき、その壮大な光景は「圧巻」としか言いようがありません。


また、西には「北海公園」の景色、北には北京の街並みや現代的な高層ビル群を望むことができ、まさに360度の大パノラマを楽しめます。
②歴史を感じる園内の建造物
登山道は頂上の万春亭に到着するまでに、西側には「輯芳亭(しゅうほうてい)」、東側には「観妙亭(かんみょうてい)」が建てられています。

私は往復とも東側のルートを取りましたので、観妙亭から景色を楽しみました。

観妙亭からの眺めは斜めからになりますが、かえって建物が一直線に並んでいるのがよく分かります。

また、景山公園の北側にある「寿皇殿(じゅこうでん)」と「観徳殿(かんとくでん)」は、清代に皇帝と皇后の棺を本葬まで安置した場所であり、歴史的なスポットとなっています。
③崇禎帝の自害の場所
景山公園は明朝最後の皇帝である崇禎帝(すうていてい)が、農民反乱軍に攻め込まれた際に、この景山の山麓で宦官と共に槐(えんじゅ)の木に帯を吊るし自害したという悲劇の場所としても知られています。
私は不覚にもこの記念碑を見逃してしまったのですが、景山公園の案内には「明思宗殉国处(めいしそうじゅんこくしょ)」と表記されています。
南門から東門に向かう途中に位置しています。
④美しい園内
園内は非常に整備されています。

季節の草花や動物のオブジェがあり、園内を散策しているだけでも楽しめます。
ベストな訪問時間帯
景山公園を訪れる時間帯によって、異なる景色を楽しめます。
夕暮れ時
夕刻になると、眼下の紫禁城の黄色い屋根瓦が夕日に照らされて黄金色に輝き、特に美しい絶景となります。ただし、夕暮れ時は故宮を見終えた観光客が押し寄せ、大混雑することが予想されます。
また、時期によっては北京の日没は非常に遅いのでご注意ください。私が訪れた6月下旬の日の入りは19:45頃で、想像以上に遅かったので、夕日に照らされる紫禁城を見るのは諦めました。
早朝
景山公園、特に山頂の万春亭周辺はとにかく混雑しています。

写真を撮るのも一苦労です。混雑を避け、紫禁城の全景を満喫したい場合は、空いている朝の時間帯がおすすめです。
紫禁城のある南側は、一日中逆光にならずきれいに見えるため、朝の訪問でも問題ありません。
6時の開園から訪れる地元住民も多く、太極拳、体操、踊り、上り下り運動といった北京現地の日常生活を垣間見ることができ、地元の生活文化に触れることができます。
注意点
景山公園を快適に観光するために、いくつかの注意点があります。
景山の頂上にある万春亭へ登るのは、想像以上に体力を使います。

頂上までの登山道は舗装されていますが、急な坂道や階段が続きます。歩きやすい靴を履いて無理をせず休みながら訪問することをおすすめします。
また、景山公園の公園内の登山道や休憩施設には、飲み物の販売所やトイレが少ないのでお気をつけください。
トイレは公園の南門から東門、もしくは西門に行く途中に設置されていますが、登山道にはトイレはありません。万春亭を目指して登り始める前に、これらのトイレを利用しておきましょう。
特に夏場は水分補給が欠かせないため、万春亭に登る前に飲み物を用意しておいてください。
まとめ
景山公園は、わずか2元という安価な入場料で、紫禁城の壮大な全景と、北京の中心軸が一直線に伸びる絶景を体験できる、非常に価値の高い観光スポットです。
この人工の山は、風水思想に基づき、北京の中軸線の最北端を守るように築かれ、その歴史的価値が認められ世界遺産の構成資産にもなっています。
北京を訪れた際には、ぜひ景山公園を訪れ、中国の歴史に思いを馳せてみてください。



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